塾講師吉田のブログ

宮城県で塾講師をしています

『すぐわかる英文法』

書誌情報

著者:肘井学

タイトル:赤本プラス 大学入試 すぐわかる英文法

出版社:教学社

 

構成

大半の章では、文法用語の説明を行ったり、あるいはその章の概略を述べたりする§0が用意されています。

章はいくつかのセクションで構成され、章の終わりにはチェック問題(1つの章につき5題)があります。

各セクションには導入としてIntro quizが準備されています。これを解くことや、あるいは解くために考えることで、各文法事項へスムーズに入っていけます。

また章立てとは別に、「横断英文法」というコラムが17個収録されています。このコラムでは、英文法の各項目のつながりが説明されていて、学習者の英文法に対する理解を促しています。

各ページはIntro quizから始まり、文法事項の説明や例文、まとめやポイントなどが見やすいレイアウトで配置されています。また余裕のある行間、青と黒の二色刷りも非常に見やすくなっています。

別冊に333の英文とその和訳をまとめた例文集があり、出版社のサイトからMP3形式の音声をダウンロードすることができます。

第1章 文型と文の要素

第2章 be[形容詞][前置詞]型

第3章 SV A[前置詞]B型

第4章 時制 前編

第5章 時制 後編

第6章 助動詞

第7章 仮定法

第8章 受動態

第9章 不定

第10章 動名詞

第11章 分詞

第12章 準動詞

第13章 関係詞

第14章 比較

第15章 接続詞

第16章 名詞・冠詞

第17章 代名詞

第18章 形容詞・副詞

第19章 前置詞

第20章 否定・疑問

第21章 倒置・強調・省略

第22章 動詞の語法

第23章 形容詞・副詞の語法

第24章 名詞の語法

 

特徴

454ページとその厚さに圧倒されそうになりますが、実際に読んでみると驚くほどスラスラとページが進みます。上述のように、見やすいレイアウトを維持するためか、文字自体の分量はそれほど多くありません。

説明や例文、ポイントやまとめは、シンプルに書かれていて非常に理解しやすい。一方で、そのあっさりとした解説のため記憶には残りにくいかもしれません。しかしどこを覚えるのか、ということがはっきりしています。ですので何度も読んだり、読み終えた後も何度も参照したりするには便利です。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間

レベル:高校標準

注意点:初級レベルの文法が身についていることが前提です。身についていない場合、最後まで読み通すのはかなり苦しいと思います。文字の量は見た目よりは少ない、と言っても、読書経験の少ない高校生にとってはなかなかの負担になってきます。

問題数は少ないことにも注意しなければなりません。章末のチェック問題が1章につき5題で全24章あるから、合計120題です。これに各セクションのIntro quiz(2択の問題)をありますが、充分な演習量は確保できません。そのため本書を使用した後に、文法問題集を追加することが望ましい。しかしそうするとその文法問題集に取り組む期間も予め計算しておかねばなりません。受験のスケジュールや計画によっては使用を断念することもあるかもしれません。

長期計画に落とし込むには、例えば初級レベルで断片的に覚えてきた知識を、本書で体系的に整理し、その後上位向けの1000題超の文法問題集で仕上げる、というルートが考えられます。

 

使用方法:1日30~60分の学習時間を想定

【1,2周目】「チェック問題」と「横断英文法」を飛ばして、まずは本文をどんどん読み進めていきます。覚えようせず、理解することに集中して下さい。2週間で1周することが目安です。

【3,4周目】ここからは「チェック問題」と「横断英文法」も含めて、全て読んでいきます。ここでも理解することに集中して下さい。目安は2週間で1周です。

【5,6周目】基本的な進めかたは、3,4周目と同じです。しかしここからは覚える(覚え直す)ことを重視します。問題やquizで間違えた場合、そこが自分の苦手や弱点となっています。その箇所には付箋を貼っておきましょう。そして本書を勉強するたびに、その箇所をざっと確認します。10秒程度で構いません。何度も何度も確認することが大事です。1周を2週間で終わらせましょう。

 

付録の例文集については、音声をダウンロードし、それを解凍してMP3再生です。パソコンではそれほど手間ではありませんが、スマホで使うには一手間かかります。音声を利用するのに越したことはありませんが、無理をしてまで使う必要はありません。

 

気になるのは、第13章の§7複合関係詞(pp. 238-9)の記述です。ここでは複合関係詞が「no matter + 疑問詞に置き換えることが可能」とあります。一般にこの置き換えをするのは副詞節で使われるときです。名詞節で使われるときはこの置き換えをしません。著者はもちろんこの点は知っているはずですが、ただ1語「副詞節で使われる時に」と入れた方がより親切な記述になったと思われます。