数学の勉強で基本を支えているものは
①公式の理解
②計算力
の2点です。これらをしっかりと身に着ける方法を説明していきます。
①公式の理解
公式はただ見て覚えようとしてもなかなか覚えられません。文字式がずらっと並んでいるだけなのですから、無理もないでしょう。
理解するためには意味を考える必要があります。そして考えるためには書くことが最も重要です。
「書く」と言っても、それは公式を写すことを意味しているわけではありません。公式を導出する過程、つまり公式の証明を書くことを意味しています。
公式の証明は自力で出来ることが望ましいですが、教科書等の証明を写していっても大丈夫です。ただしその場合、一行一行、一語一語理解しながら書いていかねばなりません。図が必要な場合には当然その図も描きます。式変形が省略されているのであればそれは自分で補います。
この作業は何回も行う必要はありません。1つの公式につき1回やれば充分です。
②計算力
計算力とは、速く正確に計算する能力のことです。
計算は正しい計算規則に従って数式を処理していきます。高校入学時点で次の2点が身についている必要があります。
(1)四則演算
(2)文字式(代入の計算も含む)
四則は小学校で、文字式関連は中学でそれぞれ主に習います。これらが不十分な状態であると、高校数学を学んでいくのは非常に苦しいと思います。
計算は基本的に一行ずつ改行して書いていきます。数式の横に等号をつけて横に伸ばすのではありません。
「縦」に書いていくことで、直前の行を見ながら、どこをどのように式変形するのか確認することができます。間違えた時に直すことも容易です。
「横」に書いていくと、目の動きが大きくなり見間違えるリスクが高くなります。
◯公式を覚えて計算力を高める方法
最初の行に問題の数式を書きます。
それを見てどの公式を使うのか確認します。
公式に代入した式を2行目に書きます。ここで注意点があります。
例えば乗法公式「(a+b)² = a² + 2ab +b² 」を覚えようとします。
問題が「(3x + 2y)²」とします。
この時2行目は(ア)「(3x)²+ 2・3x・2y+(2y)²」と書きましょう。初めから(イ)「9x²+12xy+4y² 」と書くのはオススメできません。
その理由は公式を適用することと、累乗や掛け算をすることの2つのことを同時に行っているからです。公式は「形」が大事です。(ア)ではその形をはっきりと意識できるのに対して(イ)ではそうではありません。さらに(ア)と書くことでほぼ公式そのものを書くことになるので、覚えるという目的にも適っているのです。
ただしこれは初期の段階の話です。公式がしっかり身についたらもちろん(イ)のように書いて構いません。数学な得意な人は、数問練習するだけで(ア)の段階をクリアできるだろうし、苦手な人は数十問(ア)のように書く必要があるかもしれません。