塾講師吉田のブログ

宮城県で塾講師をしています

『すぐわかる英文法』

書誌情報

著者:肘井学

タイトル:赤本プラス 大学入試 すぐわかる英文法

出版社:教学社

 

構成

大半の章では、文法用語の説明を行ったり、あるいはその章の概略を述べたりする§0が用意されています。

章はいくつかのセクションで構成され、章の終わりにはチェック問題(1つの章につき5題)があります。

各セクションには導入としてIntro quizが準備されています。これを解くことや、あるいは解くために考えることで、各文法事項へスムーズに入っていけます。

また章立てとは別に、「横断英文法」というコラムが17個収録されています。このコラムでは、英文法の各項目のつながりが説明されていて、学習者の英文法に対する理解を促しています。

各ページはIntro quizから始まり、文法事項の説明や例文、まとめやポイントなどが見やすいレイアウトで配置されています。また余裕のある行間、青と黒の二色刷りも非常に見やすくなっています。

別冊に333の英文とその和訳をまとめた例文集があり、出版社のサイトからMP3形式の音声をダウンロードすることができます。

第1章 文型と文の要素

第2章 be[形容詞][前置詞]型

第3章 SV A[前置詞]B型

第4章 時制 前編

第5章 時制 後編

第6章 助動詞

第7章 仮定法

第8章 受動態

第9章 不定

第10章 動名詞

第11章 分詞

第12章 準動詞

第13章 関係詞

第14章 比較

第15章 接続詞

第16章 名詞・冠詞

第17章 代名詞

第18章 形容詞・副詞

第19章 前置詞

第20章 否定・疑問

第21章 倒置・強調・省略

第22章 動詞の語法

第23章 形容詞・副詞の語法

第24章 名詞の語法

 

特徴

454ページとその厚さに圧倒されそうになりますが、実際に読んでみると驚くほどスラスラとページが進みます。上述のように、見やすいレイアウトを維持するためか、文字自体の分量はそれほど多くありません。

説明や例文、ポイントやまとめは、シンプルに書かれていて非常に理解しやすい。一方で、そのあっさりとした解説のため記憶には残りにくいかもしれません。しかしどこを覚えるのか、ということがはっきりしています。ですので何度も読んだり、読み終えた後も何度も参照したりするには便利です。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間

レベル:高校標準

注意点:初級レベルの文法が身についていることが前提です。身についていない場合、最後まで読み通すのはかなり苦しいと思います。文字の量は見た目よりは少ない、と言っても、読書経験の少ない高校生にとってはなかなかの負担になってきます。

問題数は少ないことにも注意しなければなりません。章末のチェック問題が1章につき5題で全24章あるから、合計120題です。これに各セクションのIntro quiz(2択の問題)をありますが、充分な演習量は確保できません。そのため本書を使用した後に、文法問題集を追加することが望ましい。しかしそうするとその文法問題集に取り組む期間も予め計算しておかねばなりません。受験のスケジュールや計画によっては使用を断念することもあるかもしれません。

長期計画に落とし込むには、例えば初級レベルで断片的に覚えてきた知識を、本書で体系的に整理し、その後上位向けの1000題超の文法問題集で仕上げる、というルートが考えられます。

 

使用方法:1日30~60分の学習時間を想定

【1,2周目】「チェック問題」と「横断英文法」を飛ばして、まずは本文をどんどん読み進めていきます。覚えようせず、理解することに集中して下さい。2週間で1周することが目安です。

【3,4周目】ここからは「チェック問題」と「横断英文法」も含めて、全て読んでいきます。ここでも理解することに集中して下さい。目安は2週間で1周です。

【5,6周目】基本的な進めかたは、3,4周目と同じです。しかしここからは覚える(覚え直す)ことを重視します。問題やquizで間違えた場合、そこが自分の苦手や弱点となっています。その箇所には付箋を貼っておきましょう。そして本書を勉強するたびに、その箇所をざっと確認します。10秒程度で構いません。何度も何度も確認することが大事です。1周を2週間で終わらせましょう。

 

付録の例文集については、音声をダウンロードし、それを解凍してMP3再生です。パソコンではそれほど手間ではありませんが、スマホで使うには一手間かかります。音声を利用するのに越したことはありませんが、無理をしてまで使う必要はありません。

 

気になるのは、第13章の§7複合関係詞(pp. 238-9)の記述です。ここでは複合関係詞が「no matter + 疑問詞に置き換えることが可能」とあります。一般にこの置き換えをするのは副詞節で使われるときです。名詞節で使われるときはこの置き換えをしません。著者はもちろんこの点は知っているはずですが、ただ1語「副詞節で使われる時に」と入れた方がより親切な記述になったと思われます。

『入門英語長文問題精講』

書誌情報

著者:三浦淳

タイトル:入門英語長文問題精講

出版社:旺文社

 

構成

長文問題は全部で24題あり、問題は別冊に収録されています。

また問題文の一部を用いたディクテーションのパートも用意されています。

解説においては、まず見開き1枚で左ページに英文の構造分析が、右ページに和訳と語句が掲載されています。

次に「英文読解のポイント」において、2~4ページを割いて読解に必要な文法事項を取り上げています。そして文法事項を本文中で出てきた英文を通じて確認しています。

最後に問題の解答と解説があります。解説は簡潔ではありますが、文法に関しても内容に関しても必要な事柄をしっかりと説明してくれています。

旺文社のアプリ「英語の友」を使えば、問題英文を聞くことができますし、ディクテーションパートだけの音声も収録されています。

第1章(演習問題1~9) 合計2159語(平均239.9語)

第2章(演習問題10~17)合計2700語(平均337.5語)

第3章(演習問題18~24)合計2405語(平均343.6語)

 

特徴

長文読解用の参考書としては、かなり使いやすいもののうちの1つです。別冊の問題英文は全て左ページ始まりで、演習問題24(500語)を除けば、全て見開き1枚に問題英文が収まっています。設問については選択問題・和訳問題・説明問題・適語補充して要約文を完成させる問題など、バランス良く様々な設問形式が用意されています。

解説における「英文読解のポイント」もまた有用です。上位レベルの学習者には必要無いかもしれませんが、本書を手に取るレベルの学習者にとっては読解のための文法や構文を再確認できる良い機会となるでしょう。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間
レベル:高校標準
注意点:タイトルに「入門」とありますが、難易度は共通テスト程度だと思います。そのため、初級レベルはもちろん、標準レベルの単語や文法をある程度身に着けてから取り組むほうが良いでしょう。実際の入試問題からの抜粋なので、一部難しい単語があります。実践さながら前後の文脈から推測しましょう。
音読については200語程度の英文ならばそうでもありませんが、300後半を超えてくるとなかなかきつく感じます。また音読用白文も無いので、この教材で無理して音読をする必要はないと思います。もちろん時間的、精神的に余裕のある方はやってください。
 
使用方法:1日60~90分の学習時間を想定・問題英文はコピーして使用・旺文社アプリ「英語の友」をダウンロード
【1周目】1日1題ずつやっていきます。1回目の復習(つまり2回目)を翌週に行います。学習最初の週は1日1題ですが、次の週からは復習を含めて1日2題になります。1週間で6題行う予定にすれば、4週間+1週間で終わらせることができます。
  [1回目]時間は5分程度オーバーしても構いませんが、必ず時間を計って取り組んで下さい。問題を解き終えたら、まず「英文の構造・訳・語句」のページから見ていきます。語句についてはこの時点で知らなかったものにバツ印などをつけるだけで構いません。構造と訳については上手く読み取れなかった箇所を中心に確認しておきましょう。
「英文読解のポイント」は1回目では飛ばしても大丈夫です。恐らくここも読み込むと時間的にも精神的に負担が大きいと思います。
設問の解答解説は、解答を導く根拠が自分の読みと合っていたのかどうか、そうでないのならばどこが解答の根拠であったのか、これはしっかりと理解して下さい。
  [2回目]問題は解きません。最初から解答解説の「英文の構造・訳・語句」を読み込んでいきます。ここでは1文1文しっかりと理解することを心がけて下さい。次に「英文読解のポイント」を確認します。やはりこの箇所もじっくりと読み込んで理解することが大切です。
 
【2周目】1周目と進め方は同じです。1日1題ずづ、翌週に復習を行うやり方です。4週間+1週間で終わらせます。
[3回目]1回目とほとんど同じです。恐らく制限時間よりも早く解き終わるので、解答解説の読み込みにその分時間を充てましょう。
[4回目]「英文の構造」ページを見ながら音声を聞きましょう。5回程度で大丈夫です。英文内容とともに音声を頭にいれるのが目的です。「語句」や「読解のポイント」をざっと確認します。
 
【3周目】1,2周目と進め方は同じです。1日1題ずつ、翌週に復習、4+1週間で終わりです。
[5回目]3回目とほぼ同じです。ここの時点でわからない語句については、それが自分の(使っている・使った・使う予定)単語集に掲載されているものならば、紙に書き出すなどして必ず覚えます。そうでないならば無理して覚えなくても大丈夫です。
[6回目]英文を見ずに音声を聞きます。5回程度で良いでしょう。もしここで時間的・心理的に余裕があれば、ディクテーションや音読を行いましょう。

 

本書は、標準レベルの長文問題集を探している方に、自身を持ってオススメできる一冊です。内容・形式どの面から見てもほとんど隙がありません。買って損することはありません。上位レベルの大学を狙う方でも、基盤固めとして充分効果的に利用できます。

こんな本は選ばない!参考書を選ばない方法?

 

jukukouyoshida.hatenablog.com

参考書を選ぶ基準は何でしょうか?

レベル、量、説明の詳しさ等、どれも考慮する必要がありますね。

では発想を変えて、参考書を「選ばない」基準はあるのでしょうか?

私にはあります!

それは、①使いやすさ②見やすさの2点が悪い場合、内容が優れていても選びません。具体的に説明します。

 

①使いやすい

例えば英語長文の場合、使いやすい順に…

1. 問題と解説が別冊であり、問題が全て左ページ始まり。

2. 問題と解説が別冊であるが、問題が必ずしも左ページ始まりでない。

3. 問題と解説が別冊でないが、問題と解説のページが分かれている。

4. 問題と解説が別冊でなく、問題と解説のページが分かれていない。

基本的に問題をコピーして使いますが、上記のうち許されるのは3までです。4については、赤本などの特別な本でない限りは却下してます。

 

例えば数学の場合、使いやすい順に…

1. 問題と解説が同ページにあり、解説がそのページ内でまたは見開き1枚で完結している。

2. 問題と解説が別冊であり、解説が1ページ内または見開き1枚で完結している。

3. 問題と解説が別冊であり、解説がページで完結していない。

4. 問題と解説が別冊でないが、問題と解説のページが分かれている

5. 問題と解説が別冊でなく、問題の裏ページに解説があったり、解説がページを跨いでいたりする。

これらのうち基本的に許されるのは3までです。5はさすがに使いにくすぎます。共通テスト型で問題文が長いものなどは特にひどいと思います。解説の途中で問題文を確認したいときに、ページを開いたり閉じたりするあの動きを強要し、時間の無駄であるだけでなく集中力をも阻害する、学習効率を著しく下げる悪魔みたいな存在です。赤本の多くは4ですが、これは問題文をコピーすれば事実上3と同じです。通常の参考書で4のタイプは選びません。

 

②見やすい

見やすいか見にくいかについては個人差がかなりあると思います。

私が重視するのは以下の3点です。

1. 色使い

2. フォント

3. 文字の大きさ

(4. 紙質)

実際のところ具体的な基準があるわけではありません。

例えば同じ2色(黒と赤)でも、ある本は見やすく、別のある本は見にくい、ということもあります。フォントもUD(ユニバーサルデザイン)でもゴシックでも見にくい時はやっぱり見にくい。文字の大きさも大きれば良いわけでもなく、小さくても見やすい、ということもあります。

個人的には旺文社の参考書はどれも見やすく作られていると思います。

 

なお、使いづらさワースト1でかつ見づらさワースト1という、購入者をとことん舐めきってる参考書があります!さらに紙質も悪いというおまけ付き。でもその本はなかなかのロングセラーなんですよね…公表は差し控えさせて頂きます。

模試は復習しなくても良い(場合があります)

「模試は復習すべし」これはもはや受験の常識です。

しかし私は声を大にして言いたい。

「模試は復習しなくても良い(場合がある)」と。

 

ここでは一般的なマーク模試・記述模試に限って話を進めていきます(つまり大学別模試は除きます)。

 

【復習しなくても良い場合】

例えば英語の長文問題における正答率が3割以下の場合、その長文はほとんど読めていません。読解に必要な単語や文法が不足しているので、解説を読んでも得るものは多くありません。こういう場合復習にかける時間は無駄です。その時間で単語や文法の学習をした方が効果的です。

数学においても、例えば大問の(1)からそもそも解けていない場合も状況は似ています。結局のところ全然分かっていないのだから、全く「復習」になっていないのです。その時間で基本問題の習得を図る方が賢いでしょう。自分のレベルよりかなり上のものを、無理して解き直す必要などありません。

 

【復習した方が良い場合】

ある程度出来た問題については復習することが効果的です。目安としては6~7割以上でしょう。この場合、覚え直すことや新たに理解すべきことが少ないため、負担も少なくなります。また解答解説もしっかり理解でき、周辺知識も吸収することが可能でしょう。

 

【どちらとも言えない場合】

正答率が5割前後の時は判断が難しいです。

自分の得意科目、得意にしたい科目であれば復習を行い、そうでなければ復習をしない、でも良いでしょう。

あるいは、問題形式で復習する/しないを区別することもできます。長文問題のようにかなり労力が必要なものは復習をせず、文法4択問題のようにさっと取り組めるものについては復習する、ということも考えられます。数学であれば、大問はさけて小問集合だけ等々。

 

言うまでもなく理想を言えば「模試は復習をすることが望ましい」のです。しかしそれはあくまで理想論です。たかが受験勉強です。模試の復習を義務と考え、苦痛に感じながら復習をする必要は全くありません。心理的な負担を抱えながらの受験勉強は、いつかどこかで破綻します。「楽をしろ」と言いたいのではありません。その苦労は本当に必要な苦労なのか、今一度考えて欲しいのです。

『数学Ⅱ・B 入門問題精講』

 

jukukouyoshida.hatenablog.com

書誌情報

著者:池田洋介

タイトル:数学Ⅱ・B 入門問題精講

出版社:旺文社

 

構成

定理(公式)の説明がかなり詳しく書かれていて、各単元の導入が教科書よりも丁寧に書かれています。

定理の説明の後には練習問題があります。問題のすぐ下に解答を導くためのヒントなどが書かれている「精講」や、「コメント」で発展的な事柄や別の視点からの捉え方などが提供されています。また練習問題よりも少しレベルの高い応用問題も用意されています。

*見出し後のかっこ内は(練習問題数, 応用問題数)

第1章 式と証明(9, 0)

第2章 複素数と方程式(10, 1)

第3章 図形と方程式(20, 3)

第4章 三角関数(12, 7)

第5章 指数関数・対数関数(18,2 )

第6章 微分積分(19, 7)

第7章 数列(12, 7)

第8章 統計的な推測(16, 0)

 練習問題合計116題・応用問題合計27題

 

特徴

単元の導入にしても定理の証明にしても、通常の教科書よりもかなり丁寧に書かれています。そのため391ページもある本ですが、上述のように問題数は少なめとなっています。問題を解かせることよりも、数学で扱う事柄を理解してもらうことが重要視されています。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間

レベル:高校初級

注意点:数学が苦手な人には向いていません。苦手な人は本書の説明を冗長に感じ、途中で放りだしてしまう可能性が高いです。また数学が得意な人であっても、本書だけで完全独学で先取りしていくことは難しいでしょう。

向いているのは、①数学が得意でこれから学校で数学ⅡBの授業が始まる方や、②現在ある程度数学の問題を解けるには解けるけど実は理解不足を感じている方です。

一部の天才を除いて、だいたいどの方にも当てはまりますが、定理(公式)にしても練習問題にしても紙にきちんと書いて下さい。書くことは考えることなのですから。

 

使用方法:(上記①と②に対応しています)

①高校の授業の予習復習にあわせて使うと良いでしょう。教科書を補強するものとして非常に役立ちます。全体を通して2周程度、あとは苦手な単元や理解が不十分な単元を繰り返し読めば大丈夫です。

②どの章から取り組んでも基本的には大丈夫です。自分が苦手としている分野からでも、得意としている分野からでも構いません。まずは1つの章を読んでみましょう。余裕があれば全部の章を一度は目を通してみて下さい。

 

同著者の『1A』もそうですが、非常に素晴らしい参考書ですが、使う人をかなり選ぶものだと言えます。例えば文系で共通テストにおいて平均点くらいを目指すのであれば、本書を手にする必要はありません。理系で2次試験も数学がある場合は、後々標準レベル以上の参考書をするための基盤づくりとして本書は大いに役立つと思われます。

『入門英文問題精講』

書誌情報

著者:竹岡広信

タイトル:入門英文問題精講

出版社:旺文社

 

構成
全部で72題あり、問題(英文)が別冊に収録されています。
解説は見開き1枚(2ページ)で1つの問題を扱っています。左上に英文が再掲載され、SVOCや接続詞、関係代名詞など簡潔な文法的説明が書き加えられています。
英文中には要所要所で番号が振られており、その番号が付いた箇所について詳しい解説があります。
紙面構成は、英文解釈の参考書としてはオーソドックスな作りで、色も青と黒の二色刷りで非常に見やすいものとなっています。
英文法の基本講義(1~12回)
第1章 主語と動詞の把握(1~11)
第2章 準動詞(13~19)
第3章 関係詞(20~31)
第4章 接続詞(32~48)
第5章 比較(49~56)
第6章 その他の重要語句(57~72)
 
特徴
英文解釈の参考書の中で最も使いやすいもののうちの1つだと思います。まず英文が別冊に、見開き1ページに4題ずつ収められているのでコピーを取りやすいです。またその英文ページの次の見開きに、語句が載っており辞書を引く手間が省けます。72題という分量も多すぎず少なすぎず、また英文の長さも2~6行(多くは4行前後)と長すぎず短すぎず、何度も復習するのに適しています。
解説については、一部高度なものもありますが、とても分かりやすく、問題の英文を理解するのに充分に詳しいものとなっています。解説の小見出しで「andがつないでいるものは?」とか「なぜ複数形?」など、そこで理解すべきポイントを提示していることも非常に評価できます。
 
使い方など
使用時期:基盤力養成期間
レベル:高校標準
注意点:タイトルに「入門」とありますが、実際には標準レベル(共通テスト程度)だと思われます。ですので初級レベルの英文法や英文解釈をしっかり身につけてから取り組んで下さい。語句のリストがあるとはいえ、単語も初級レベル(ターゲット1200など)は必要です。
使用方法:1日60~90分くらいの学習時間を想定・英文はコピーして使用・アプリ「英語の友」をダウンロード
【1周目】1日2題ずつやっていきます。1回目の復習(つまり2回目)を翌週に行います。学習開始最初の週は1日2題ですが、次の週からは復習を含めて1日4題になることに注意して下さい。1週間で12題やることとし、6週+1週で終わらせることができます。
 [1回目]語句を参照しつつノートに和訳を書いていきます。適時SVOC等をコピーした英文に書き込んでいきます。もし主節のSVが分からない時は、あまり悩まず解説を読んでしまいましょう。解説を理解したら和訳を修正し、コピーした英文に正しいSVOCを書き直しましょう。その後アプリで音声を数回聞き、音読を5~10回程度して下さい。
 [2回目]1回目で使用したSVOCが書き込まれた、コピーした英文を黙読します。和訳を書く必要はありません。この時、文法的な事柄が理解できているか確認しながら読んで下さい。疑問に感じることがあったらすぐに解説で確認しましょう。英文がきちんと文法的に理解できたら、アプリで音声を数回聞いてから、音読を5~10回して下さい。
【2周目】1日3題ずつ進めていくこと以外は、1周目と同じです。1週間で18題やるので、4週+1週で終わります。
 [3回目]1回目と基本的には同じですが、コピーした英文に書き込むSVOCは自分にとって必要なものだけで大丈夫です。
 [4回目]2回目と基本的に同じです。
【3周目】1日4題ずつです。1週間で24題やるので、3週+1週で終わります。
 [5回目]1、3回目と基本的に同じです。
 [6回目]2,4回目と基本的やり方は同じですが、何も書き込まれていない英文を使用して下さい。
 
旺文社が出しているアプリ「英語の友」はかなり使いやすいです。本書においては、どの英文も一発で呼び出すことができます。また音声のカスタマイズも出来て、読み上げ速度を調整したり、リピート機能を使えばその英文だけを何度も流したりすることが可能です。
「英文法の基本講義(1~12回)」が解答解説編の前にありますが、本書を使う人は、そこに書かれているレベルのことは既に身についているはずです。ですのでざっと目を通すくらいで大丈夫でしょう。
本書は周回するのがなかなか大変かと思います。特に1周目はきついでしょう。ある程度時間的、精神的に余裕のある時期にやることをオススメします。地方の一般的な公立高校であれば、高2の夏休みあたりに取り組むのが理想的ですね。

『肘井学のゼロから英文法が面白いほどわかる本 NEXT』

 

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書誌情報

著者:肘井学

タイトル:大学入試 肘井学の ゼロから英文法が面白いほどわかる本 NEXT 音声ダウンロード付

出版社:KADOKAWA

 

構成

各章の始めに、その章を理解するための前提となる文法用語の説明と、その章で扱われる文法事項を概観できる「見取り図」があります。

見開き1枚(2ページ)で1つの文法テーマが扱われています。

左ページ上部に覚えるポイントが示され、その下に基本例文が提示され、さらにその下に説明が加えられています。

右ページには6つの練習問題(第12講は3題)があり、左ページの知識を確認することができます。解答解説は、問題を解くのに必要な知識のみ端的に説明されています。

各章の終わりには「口頭チェック」があり、ここでさらに知識の定着を図ることができます。

第1章 接続詞(1~11講)

第2章 名詞・冠詞(12~16講)

第3章 代名詞(17~21講)

第4章 形容詞(22~28講)

第5章 副詞(29~31講)

第6章 前置詞(32~42講)

第7章 否定・疑問(43~47講)

第8章 倒置・強調(48~50講)

第9章 動詞の語法(51~54講)

第10章 形容詞・副詞・名詞の語法(55~58講)

 

特徴

左ページがすっきりまとまっていて非常に見やすいです。一見すると色マーカーが多すぎるように思われます。実は、ポイント・例文・説明で同じ事柄に対して同じ色が使われています。それにより読者は色で、今どの事柄に言及されているのかが判断できます。

語法が扱われていることも特徴の1つです。これは初級レベルの文法参考書には比較的珍しいことだと思います。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間

レベル:高校初級

注意点:本書は、同著者の『ゼロから英文法が面白いほどわかる本』(以下『ゼロから』と省略)の続編です。当然その本を使用していない方は使用するのを控えた方が良いでしょう。

また『ゼロから』に比べると、左ページの説明部分がやや分かりにくく感じられます。『ゼロから』では例文の下にある説明部分が、学習者のレベルに配慮してかなりギリギリまで削っている印象でした。本書では関連情報まで説明されているため、ある程度詳しくなっているのですが、同時に簡潔さを目指していて、その2つがあまり上手く両立していないように思われます。そのため『ゼロから』を終えてすぐに本書に取り組んだ時、その点で少し苦労するかもしれません。

使用方法:1日30~60分の学習時間を想定

【1,2周目】各章始めのイントロと、各講の左ページだけ読んでいきます。上で述べたように説明部分はこの時点ではさらっと目を通すくらいで大丈夫です。右ページの確認問題は飛ばして、また口頭チェックテストも飛ばして。素早く全体を概観しましょう。1周を3~5日で終わらせられると思います。

【3~5周目】各章始めのイントロを読み、各講の左ページを読んだら、右ページの確認問題にも取り組んでいきます。必ず1講ごとに答え合わせを行って、必要な知識を確認して下さい。口頭チェックテストも、負担に感じるようであればまだやらなくても構いません。ややゆっくりめに1周を10~14日で終わらせるペースが丁度良いと思います。

【6~8周目】ここから手順が逆になります。つまり右ページの確認問題を先に解き、解答解説をしっかりと理解してから、左ページを読みます。このようにすることで、「今見たことの確認」ではなくて「頭の中にあることの確認」という感じになるので、このやり方は非常にオススメです。ここからは口頭チェックテストも必ずやりましょう。1周を10~14日で終わらせることができるはずです。

 

付録には音声付き例文集が収められておりアプリで音声を聞くことが出来ます。もちろんこれを音読していけば力が付くことは間違いありません。とはいえ、なかなかの負担になるので無理してやらなくても構いません。

 

若干ネガティヴな事も述べましたが、優れた参考書であることは間違いありません。前著の『ゼロから』が非常に気に入ったのであれば、この続編版にも是非取り組んでみて下さい。