書誌情報
著者:池田洋介
タイトル:数学Ⅰ・A 入門問題精講
出版社:旺文社
概要
全9章で、整数分野を含む全ての数1A範囲が扱われています。
全体で359ページと比較的分厚いのですが、問題数は少なめです。各章に練習問題が数問から十数問、応用問題が若干数くらいです。
各章の導入がかなり詳しく、教科書よりも丁寧に説明されています。その単元の考え方・視点などが、理論的な説明だけでなく、直感的な説明も交えられており、学習者の理解の手助けとなっています。
特徴
いわゆる「暗記数学」とは対照をなしていて、徹底的に理解することを重要視しています。そのため教科書では数行で済まされているようなものでも、数ページをかけて説明されています。
練習問題についても、解答を示して終わりにするのではなく、そこで用いた考え方をさらに深めるよう検討したり、あるいは一般化して法則を示したりしています。
使い方など
使用時期:基盤力養成期間
レベル:高校初級
注意点:数学が苦手な人には向いていません。即効性が無いからです。良し悪しは別にして、公式を覚えてそれを問題に適用してどんどん解いていく方が効果はすぐ出ます。
向いているのは、①中学時代数学が得意だった高校1年生です。本書で数学の概念や視点を学ぶことで、標準レベル以上の数学の参考書を学習する際に必ず役に立ちます。
また、②現在数学の問題がまあまあ解けるけど実はあまりよく分かっていない方にもお薦めできます。標準レベルの問題をしっかりと身に付けるためには、理解が伴っていると効果的です。そのために本書を活用できるでしょう。
読んで理解することが重要とはいえ、練習問題・応用問題は必ず、公式の説明も場合によっては紙に書いて手を動かして下さい。
使用方法:(上記①と②に対応しています)
①高校の授業の予習復習にあわせて使います。教科書をさらに深く理解するのに役立ちます。各分野の考え方、問題を解くための視点、数学的な概念などじっくり理解していきましょう。通して1~2周、あとは苦手な箇所や理解が不十分な箇所を重点的に読めば大丈夫です。扱っている内容は教科書を超えるものではないので、より高いレベルの問題演習は他の教材を使って下さい。
②どこの章から取り組んでも問題ありません。各章につながりはありますが、ある程度学習した方ならば、学習の障害になるほどではありません。自分が苦手としている分野からまずは攻略して下さい。もちろん余裕があれば全部の章を一度は目を通すことをお薦めします。
本書は非常に良い本ですが、「合う合わない」がはっきりすると思います。特に説明を自力で読み進められない(国語の力が低い)と苦労します。「入門」と銘打っていますが、実態は上位から難関の大学を志望する方向けなのかもしれません。