塾講師吉田のブログ

宮城県で塾講師をしています

『肘井学のゼロから英文法が面白いほどわかる本』

書誌情報

著者:肘井学

タイトル:大学入試 肘井学の ゼロから英文法が面白いほどわかる本

出版社:KADOKAWA

 

構成

各章の始めにその章で扱う文法事項の全体像を概観できる「見取り図」があります。

見開き(2ページ)で1つの文法パートが取り上げられています。

まず左ページ上部に、覚えなければならないポイントが提示されます。その下に基本的な例文があり、さらに簡潔な説明が加えられています。

右ページには簡単な練習問題があり、左ページで学んだことを確認できます。練習問題の解答、その問題を解くのに必要とされる知識だけが簡潔に示されています。

第0章 中学の総復習(1~12講)

第1章 文型(13~19講)

第2章 時制(20~26講)

第3章 助動詞(27~34講)

第4章 仮定法(35~41講)

第5章 受動態(42~46講)

第6章 不定詞(47~51講)

第7章 動名詞(52~56講)

第8章 分詞(57~60講)

第9章 準動詞(61~64講)

第10章 関係詞(65~71講)

第11章 比較(72~77講)

 

特徴

本書の特徴の1つは視認性の良さにあると思います。左ページのポイント・例文・説明には、共通する事柄で色分けがされています。例えば現在完了形の項目を見ると、ポイントで「継続用法」が黄色で書かれています。そして例文で継続用法が使われている部分が黄色でマーカーされていて、説明箇所でも「継続用法」が黄色がマーカーされています。これによりポイント・例文・説明の対応関係が視覚的に非常にわかりやすくなっています。

2つ目は説明の簡潔さです。詳しい説明が常に正しいとは限りません。冗長な説明がかえって学習者にとって負担になることもあるからです。その点、本書は要点がわかりやすく短くまとめられています。途中で飽きて投げ出してしまう、ということも起こりにくいと思われます。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間

レベル:高校入門~高校初級

 

注意点:中学レベルに不安があっても使用できる参考書ですが、それでも下限はあります。be動詞と一般動詞の区別や、人称代名詞や疑問詞の使い方など、中学1年で学習する事柄も怪しい方には、本書の使用は難しいでしょう。その場合は中学生用の参考書で勉強して下さい。

 本書は見やすくて分かりやすい反面、定着させるのは少し難しいかもしれません。右ページの練習問題がかなり簡単で、意識しないと頭を使わずに機械的に解くだけになりがちです。本書を「理解用」と割り切って別の問題集を使うか、あるいは後述のように一工夫して文法事項の定着を図りましょう。

 

使用方法:1日30~60分くらいの学習時間を想定しています。

【1,2周目】各章始めのイントロと、各講の左ページだけ読み進めていく(右ページの確認問題はやらない)。まずは素早く全体を見てみることが大事です。この段階では覚えられなくても問題ありません。一周を5~7日で終わらせましょう。

【3~5周目】左ページを読んだら、右ページの確認問題にも取り組みます。1講ごとに答え合わせを行い、その都度必要な知識を確認していきましょう。1周を10~14日で終わらせるペースで進めると良いでしょう。

【6~8周目】まず右ページの確認問題を先に解きます。そして解答解説のチェックが終わってから、左ページを読んで下さい。こうすることで、「今現在完了の説明読んだから、問題でも現在完了が出されるだろう」といった先入観や解答の予測を、ある程度排除できます。1周を10~14日で終わらせることができるでしょう。

 

付録には「口頭英作文トレーニング」として本の中で出てきた英文とその和訳が一覧として収められており、アプリで音声を聞くことが出来ます。

もちろん音声を利用すれば学習効果は高まりますが、無理して使う必要はありません。アプリの方は使いにくいわけではありませんが、取り立てて素晴らしいアプリ、という程でもありません。音声の流し方をカスタマイズ(例えば日本語音声を無しにできる、英文を2回連続読みなど)できれば非常に良かったのですが。