塾講師吉田のブログ

宮城県で塾講師をしています

大学生の発信する受験情報は信用できるか?

YOUTUBEを初め、ネット上には受験情報が氾濫しています。それらのうちどれが信用できて、どれが信用できないのか。未だ受験を経験していない、合格したことのない受験生にとって判断することは非常に難しいことです。

 

問題点

1.指導経験が無いあるいは少ない

受験を通じて得た勉強方法が、自分以外の他人にも通用すると無邪気に信じているのであれば、それはあまりにも愚かとしか言いようがありません。その勉強方法のうちどれが効果があり、どれが効果がなかったか、合格した人間がそのようなことを本気で検証するでしょうか。

そうした検証は自分自身に対して行うことは出来ません。過去に戻って対象実験など無理なのですから。ということは結局、言い方は悪いですが、他人で試すしか方法はないのです。大学生になってアルバイトで塾講師や家庭教師をしても、検証に充分なくらいの数の受験生を教えることは1年2年では難しいです。また指導経験の年数が少ないと、同じ生徒を複数年担当して大学受験を迎える経験も少ないわけです。2年や3年計画で大学受験するノウハウが不足しています。

 

2.学歴が高すぎる。

受験情報を発信する大学生のほとんどの方が高学歴です。東大京大、医学部、早慶上智などなど。GMARCHあたりの方はあまりいませんし、中堅私大の方はほとんどゼロに近いでしょう。

現在の学力があまり高くなくて、中堅の私大や地方の公立大などを志望している場合、あまりにも高学歴すぎる大学生の情報は参考になりません。難関大学に合格する方はやはり高校入学時点で学力がかなり高い人が多いです。受験勉強のゴールも違うしスタート地点も違うのです。

受験情報をインターネットなどで仕入れる必要性がある方は、地方在住であったり、進学校でなかったりする場合が多いと思います。そうした受験生にとって本当に必要な情報は「東大に受かった勉強方法」などではなく、「共通テストで7割取る勉強方法」ではないでしょうか。

 

3.プロではない

プロより優れたアマチュアは無数にいます。しかしプロをアマチュアでは一つの決定的な違いがあります。それは技術を対価に金銭を受け取ることであり、そこには責任が発生します。

私達プロは、生徒の合格も不合格も何度も経験しています。そして私に成長する機会を与えてくれたのは、紛れもなく不合格だった生徒たちです。真剣に仕事に取り組んでいるからこそ、不合格の生徒の事例から、真摯に反省し指導方法・学習方法の再検証を行うのです。そしてそのような経験を積み重ねて、実績があり、自信が持てる方法を他の受験生の方々に伝えているわけです。

 

 

対処方法・情報の取捨選択

問題点を簡単に指摘して来ましたが、悪いことばかりではありません。大学生の発信する情報にも良いことがあります。

1.モチベーション維持に利用する

高校生にとって大学生はある意味憧れの存在です。そうした方々から、実際の大学の雰囲気や、受験時代の苦労を乗り切った話など、自分のやる気アップにつながる話が聞けると思います。

また年齢が近いということは、その世代特有の悩みも共有しています。例えばスマホとの付き合いなどはその典型例でしょう。現在中堅からベテランの指導者の受験生時代には、スマホは高校生にまではそこまで普及していませんでした。スマホに熱中して勉強時間が…といった悩みなどほとんどなかったのです。

2.境遇の近い人を参考にする

例えば自分が地方の公立高校に通っているならば、同じ様に地方の公立高校出身者の方の情報は非常に参考になるでしょう。自分が首都圏の進学校であれ、いわゆる自称進学校であれ、高校の取り巻く状況が似ているならば、通う生徒の状況も似てきます。

また、自分の志望校と同じ大学生ではなくとも、それよりも少しレベルが上の大学に通っている大学生であれば参考にすることができると思います。少し上のレベルの情報を知ることにより、勉強の上限を把握できます。例えばその大学生が青チャートを使っていなかったのであれば、それより下のレベルの自分は無理して青チャートを使う必要性が無いことが分かります。

 

基本的に大学生の方々は善意で情報発信をしています。実は善意だからこそタチが悪い場合も多々あるのですが。かなり優秀な方でも、若い時には自分の経験や知見が正しいと勘違いしてしまいます。もちろん私も例外ではなく、講師を始めて2,3年は反省すべきことだらけでした。