塾講師吉田のブログ

宮城県で塾講師をしています

『現代文の解法』

書誌情報

著者:中西実

タイトル:現代文の解法 読める!解ける!ルール36

出版社:Z会

 

構成

第1章では「文章を読むとはどういうことか」を簡潔に説明しています。

第2章では評論文における9つの読み方を、第3章では小説における3つの読み方が解説されています。

第4章はそれまでに学んだ解法を試せるように、8つの練習問題が掲載されています。

第2章と第3章で扱われる読み方については、その各々について3つのルールが紹介されます。そしてそのルールがどのように適用されているのかを例文を通して確認しています。その後に短くて簡単な練習問題が3題用意され、解答解説ではルールを適用して正答を導く方法が示されます。

 

特徴

初級者が現代文の参考書を使う時に、立ちはだかる2つの問題があります。それは、1つのパートを学習するのに時間がかかりすぎることと、解説や説明が長すぎてよく解らないことです。これらは根は同じだと思います。読解力が不足しているから現代文を勉強しようとしているのに、現代文の参考書を使用するのに読解力が要求されるという、パラドックス的な状況に陥ってしまうことです。

しかしながら本書にはそういう問題はほとんどありません。一見するとわかるように、1ページごとの文字量はかなり少なく、また図式を用いて説明されているので、読むことが苦手な方でも安心して使用できます。また1つのパートも短く、各章の練習問題も1問あたり3~7分の制限時間が設けられているため、毎日少しの勉強時間でも問題無く進めていくことができます。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間

レベル:高校入門~高校初級

注意点:視覚的に非常に分かりやすいために、わかった気になりかねません。これを防ぐためには、あえてゆっくりと読んでみたり、通読回数を増やしてみたりすると良いでしょう。

記述式の問題がほとんどないので、国立二次対策などには他の参考書も必要になります。また共通テスト対策にもこれだけでは不足するでしょう。あくまでも現代文の勉強の初歩段階にあることを忘れないで下さい。

使用方法:まず第1章は分量も少なく、内容も小学生や中学生の国文法で学んできたことなので、購入した日に2,3回読んでおけば大丈夫でしょう。

メインとなるのは第2章と第3章で、ここには12の読み方が説明されています。1日30分弱の学習時間で、1つの読み方のパートを終えることができ、2週間で2章と3章を1周できます。1日60分弱の勉強時間ならば、1週間で1周ですね。まずはこれらの章を3周します。

第4章は練習問題が8問あり、1問10分の制限時間があります。解説の読み込みを含めると合わせて20分程度かかるでしょう。1~2週間で、第4章を2周行います。

上記のように、1日60分であれば4週間程度、30分であれば8週間程度でひとまずは仕上げることができます。ですがここからさらに3~6ヶ月後にもう一度復習しておくことをお薦めします。例えば、高1の夏休みに本書に取り組んで終わらせ、その後冬休みや春休みにまた本書を引っ張り出してくる、といった感じです。

 

理系の方で現代文に時間をかけられない場合、使用する参考書を厳選して効率よく使用していく必要があります。そうした方の一冊目として特にお薦めできます。

難関大学を目指す文系の方でも、いきなり分厚くて難しめの参考書に挑戦するのではなく、まずは本書から徐々にステップアップしていく方が結局は合格への近道になると思います。