塾講師吉田のブログ

宮城県で塾講師をしています

『英文読解入門10題ドリル』

書誌情報

著者:田中健

タイトル:英文読解入門10題ドリル

出版社:駿台文庫

 

構成

全3章構成です。

第1章は「文型の基本訳を覚える」というテーマで、基本文型の把握とその訳し方を学ぶことができます。第1講のSVから始まり、5文型を経て、第9講ではSVO+準動詞の文型が取り扱われています。

第2章は「SVを正確につかむ」ということがテーマです。ここでは、第10講から第16講で、句や節が主語になっている英文や、修飾語句が文中に登場してSとVが離れている英文などが扱われています。

第3章は総合問題です。それまでで学習したことを試す練習問題が合計で100問も用意されています。

各講はまず左のページ5つの例文が提示され、その各々に簡潔な説明がされています。右のページでは、例文と同じ英文の問題が5題、その下に同程度に簡単な英文の練習問題が5問あります。次の見開きページではやや難易度を上げた英文の練習問題が10問用意されています。問題は全て、SVOCを指摘し、日本語に訳するものです。

第1章、第2章で合わせて300問あり、総合問題も含めると本書全体で400問の練習問題を行うことができます。

 

特徴

SVOCの把握の仕方を学べる参考書は数多くあります。しかしその方法を身に着けるためにはやはり練習が必要になってきます。本書には充分な練習問題があり、学習の初期の段階で求められる練習量を提供してくれています。

また英文中の単語、それもかなり簡単な中学レベルの英単語にも品詞と意味が掲載されています。これにより辞書が不要であり、英文和訳の練習にのみ集中することができます。

別冊の解答解説は、必要最低限のものに留められています。決して詳しいわけではありません。しかし実はかえってそれがメリットでもあるのです。詳しすぎる説明は学力が上位の受験生にとっては問題ありませんが、学力が低い受験生にとっては「長すぎて読む気が失せる」ことがしばしばあるからです。むしろ本書のように、確実に理解して覚えてもらいたいポイントが絞ってある方が、学習も進むはずです。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間

レベル:高校初級

注意点:中学の英文法がしっかり身についていることが前提です。不定詞や分詞、関係代名詞について中学レベル程度には理解していないと、本書を使用することはかなり厳しいです。英文の中には高校レベルの英文法(分詞構文など)も含まれていますが、量としては多くありません。高校初級レベルの英文法を終えていなくても大丈夫です。

使用方法:目次のページの左に「本書の使い方」というページがあるので、まずはここを熟読して進め方を把握しましょう。

1周目は、左ページの例文とその説明、右ページEXERCISES Aの1だけをやっていきます。書き込んでしまって大丈夫です。第1章と第2章の全16講を1週間程度で終わらせましょう。

2周目は、1周目でやったことの復習に加えて、右ページEXERCISES Aの2をやっていきます。ここも書き込んで大丈夫です。やはり第1章と第2章の全16講を1週間程度で終わらせます。

3周目は、2周目でやったことの復習に加えて、EXERCISES Bもやっていきます。ここは直接書き込まずコピーして使いましょう。練習問題にある程度時間をかけて、第1章と第2章の全16講を2週間程度で終わらせます。

4周目は3周目と同じです。5周目は3~6ヶ月くらい後の長期休暇などに最後の復習としてとっておきましょう。

総合問題は上述の4周目が終わったら始めて下さい。こちらも直接書き込まずコピーして使います。総合問題は①から⑤あり、それぞれ20問づつです。1週間以内で確実に終わらせることができるでしょう。2~3周程度やれば充分に成果が出てきます。ここでも3~6ヶ月くらい後の長期休暇などに、最後の復習を行うことを予定しておいて下さい。

 

全体的にとにかく初学者への配慮が素晴らしい参考書です。文法はある程度学んだのに英文読解が苦手な方は、まずはここから始めてみると良いでしょう。理想的には高校入試が終わった直後の春休みから使用したいところです。

 

 

共通テスト対策(社会科、理科基礎)

共通テストで平均点程度を狙うための攻略方法です。

地理・歴史・公共、理科基礎(地学・生物・化学)を対象としています。

 

①インプット用テキストを選ぶ

共通テストと銘打った参考書でも良いですし、学校で使用している教科書でも大丈夫です。自分が使いやすい、読みやすい、見やすいものを選びましょう。とにかくこのテキストは何度も何度も参照することになりますので。

 

②基本的な問題集を選ぶ

教科書レベルの基礎知識を扱った問題集を一冊選びましょう。これも学校で配布されているワークでも、市販の問題集でも、何でも大丈夫です。単元が細かく分かれているものがお薦めです。①のテキストに対応したものがあれば尚良し。

 

③テキストと問題集を繰り返す

テキストである単元を読んだら、問題集でその単元の問題を解きます。そしてすぐにテキストでその単元を再び読んで下さい。つまりある単元の勉強を、「テキスト⇒問題集⇒テキスト」とテキストで挟む形にします。

ここでの学習の目的は、「問題演習を通じてテキストを覚えること」にあります。問題演習後にテキストを読むと、最初に読んだ時よりも積極的な読み方が出来るようになります。問題集は人にもよりますが3~5周程度で基本事項が身につくと思います。

問題集で学んだこと・気づいたこと・調べたこと等があればテキストに書き込みしても良いでしょう。また何度やっても間違ってしまう事柄、覚えられない事柄があれば、テキストに線を引くなどしてそこを目立つように工夫するのも良いことです。ただし線を引くのは注意して下さい。初めから線を引いていくと、テキストが線だらけになってしまいます。ですので線を引くのは少なくとも3回目から、それも最初は鉛筆で薄く引いておきましょう。

 

④分野別の共通テスト対策問題集を選ぶ

この問題集には大きく分けて2つのタイプがあります

(ⅰ)過去問を分野別に再編集したもの

(ⅱ)マーク形式だが問題はオリジナルなもの

どちらのタイプでも大差ありません。気に入ったものを使えば良いでしょう。

一題一題にある程度時間をかけて、3周くらいやれたら充分だと思います。今まで覚えた基本事項のつながりが、よりはっきりと理解できることでしょう。解説をしっかり読み込んで下さい。解説で目についたところなどを、適時インプット用テキストに書き込むことも非常に良いことです。

 

ここまでの学習でも、平均点からマイナス10%くらいにはいけると思います。

 

⑤年度別の過去問や模試本に取り組む

④で(ⅰ)を選んだ方は模試本を、(ⅱ)を選んだ方は過去問をそれぞれ手に取ると、重複が少ないので効率が良いでしょう。

他科目との兼ね合いになりますが、あとは時間の許す限り本番形式で問題を解きまくって下さい。

 

以上が大まかな流れです。①から③が基盤力養成期間に、④と⑤が実践力養成期間に相当します。学校の定期テストと合わせて①から③を行い、秋頃から④へ、冬休みから⑤に入れると、平均点を取る学習方法としては理想的だと思います。

 

 

『現代文読解基礎ドリル 改訂版』

書誌情報

著者:池尻俊也

タイトル:現代文読解基礎ドリル 改訂版

出版社:駿台文庫

 

構成

評論12章、小説2章の全14章から構成されています。

各章の冒頭にそれぞれ学習する読解方法(「対比」など)が説明され、その後にその解法を試せるように演習問題が4問(13章と14章は5問)配置されています。

問題形式はほとんど選択式ですが、書き抜き問題も少量あります。

 

特徴

現代文の参考書で何らかの読解法を学んだら、それを使って問題を解かなければ身に付きません。本書は「ドリル」の名にふさわしく、学習者がしっかりと練習できる構成になっています。また一題一題の長さも短めで、かつ問題量も他書に比べると多いことも学習する上で非常に有効です。

解答解説は要点が簡潔でかつ見やすくまとめられています。解答を導くために、どのように解法を使ったのか、選択肢のそれぞれのどの部分が誤りなのか、非常に分かりやすく学習者へ負担をかけません。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間

レベル:高校初級

注意点:現代文があまりにも苦手な方には少し厳しいかもしれません。取り扱われている文章はそれなりに内容が難しいからです。公立高校入試で6割も取れていなかった方は、本書の前に中学レベルに戻りましょう。

使用方法:1日1章ペースで行えば、14日(2週間)で1周できます。まずは3周を一定のペースで行いましょう。その後、間を開けて長期休暇などに適時復習を2回行って下さい。

おそらく1章あたり60~90分くらいかかると思います。ですので普段の勉強で現代文に時間を割けない理系の方などは、夏休みなどの長期休暇を利用して、最初の3周をなんとかやり遂げて下さい。

 

現代文の参考書の選択は非常に難しい。特に読解方法を学ぶための参考書はそうです。問題集であればそこまで選ぶのに苦労はしないのですが。

本書は比較的万人向けです。これから本格的に現代文の受験勉強を始める方に特にお薦めできます。

 

 

現代文の勉強の仕方

3タイプ

1. 指定校推薦を考えていて、定期テストのみ現代文が必要。

2. 共通テストのみ現代文が必要。

3. 共通テストに加えて二次試験、または私大入試現代文が必要。

 

1のタイプの方は、学校の授業をしっかり聞いて内容を理解し、テスト範囲の漢字や語彙を覚えて下さい。教科書対応のワークが配布されて場合はそれを何度も繰り返せば充分でしょう。何か参考書や問題集を買う必要は基本的にはありません。

 

2のタイプ

基盤力養成期間

漢字については、定期テストを利用して教科書に出てきた漢字をその都度覚えていきましょう。語彙については易しめのものを一冊程度、しっかり読み込んで下さい。

読解は、読み方や解き方を学べるものを1~2冊、共通テストよりやや易しめのレベルの問題集を1~2冊仕上げておきます。共通テストの6~3ヶ月前くらいには次の実践力養成期間に移りましょう。

実践力養成期間

共通テストの現代文は年々難しくなっています。読む方も解く方もです。以前は「読めれば解ける」と感じさせる問題だったのですが、最近では「読めても解けない」と感じさせる問題になって来ています。

他の科目と違い、いきなり過去問に取り組むことはお勧めしません。一旦、共通テスト対策用の参考書を使います。その後に過去問に取り組み、そして対策本の復習をして、最後に模試本で仕上げて下さい。

個別対策期間

現代文が共通テストのみ必要である場合、理系の方がほとんどで、文系の方は二次で英語のみあるいは小論文のみと考えられます。共通テストと二次試験の総合点で考えると、現代文の割合は10%を下回っているはずです。ですので苦手なところに多少対策したところで、全体に及ぼす影響は極めて小さくなります。したがって現代文の個別対策をする時間があったら、他の科目、理系なら理科、文系なら英語や、点数の取りやすい社会の対策をした方が効率が良いでしょう。

 

3のタイプ

基盤力養成期間

漢字については1冊、問題集を仕上げれば充分です。語彙については、易しめのものと、標準から難しめのものとの2冊を考えておきましょう。早い段階から学習していれば時間的にもそれほど厳しくありません。

読解については、読み方解き方に主眼を置いた参考書と、ある一定のレベルで構成されている問題集を交互に行います。つまりまず初級レベルの参考書で読解方法を学んだら、それを初級レベルの問題集で試してみる、という方法です。そして初級レベルから標準レベル、上位レベルへと進みます。参考書は各レベルで1冊で構いませんが、問題集は時間があるならば各レベル2冊は使用したいところです。

実践力養成期間

まずは過去問をチェックして下さい。評論文1題・小説1題なのか、評論文2題なのか、随筆が出るのか、現代文のタイプを必ず確認しましょう。それから漢字や語彙、あるいは文学史などの知識分野配点、記述・論述は何文字で書くのか、などなど事前に把握しておきましょう。このあたりは他の科目と変わりません。

一部の難関大学の場合、その大学対策の参考書が売られていますので、もちろんそれを購入して取り組むことをお薦めします。場合によっては大手予備校の◯◯大学現代文といった講座を受講することも考慮に入れておきましょう。

共通テストは軽く見ると必ず足元をすくわれます。数学同様に必ず対策が必要です。共テと二次と、並行して対策するのはなかなか難しいです。一週ごとに共テと二次を交互に行うのも一つの手です。もちろん二週ごとでも問題ありません。やりやすい方で大丈夫です。

個別対策期間

現代文の場合、何が自分の弱点なのか、握することがそもそも難しい、という問題あります。語彙のような知識によるのか、読解能力の不足によるのか、表現能力の不足によるのか。塾に通っていれば、答頼できる講師に聞くのが手っ取り早いです。そうでない場合は少し工夫が必要かもしれません。

記述問題に解答する場合、解答に書くべきポイントを箇条書きでメモしておきます。そしてそれを組み立てて解答を作成します。答え合わせの際、これらのポイントがずれていれば、それは読解不足を意味します。ポイントは合っているのに自分の解答が模範解答と大幅にズレている場合、それは表現力不足を意味します。こうすることである程度は自分の弱点が分かります。とはいえやはり、ある程度、です。模試等の記述問題の採点基準についても言えるのですが、部分の総和は全体には及びません。部分だけ見て合っていても全体として見るとそうでもない、ということはよくあります。

 

作文や小論文もそうですがやはり記述力を伸ばすためには、自分よりも国語力の高い人、プロの指導を受けるのが最短です。

『数学Ⅰ・A 入門問題精講』

書誌情報

著者:池田洋介

タイトル:数学Ⅰ・A 入門問題精講

出版社:旺文社

 

概要

全9章で、整数分野を含む全ての数1A範囲が扱われています。

全体で359ページと比較的分厚いのですが、問題数は少なめです。各章に練習問題が数問から十数問、応用問題が若干数くらいです。

各章の導入がかなり詳しく、教科書よりも丁寧に説明されています。その単元の考え方・視点などが、理論的な説明だけでなく、直感的な説明も交えられており、学習者の理解の手助けとなっています。

 

特徴

いわゆる「暗記数学」とは対照をなしていて、徹底的に理解することを重要視しています。そのため教科書では数行で済まされているようなものでも、数ページをかけて説明されています。

練習問題についても、解答を示して終わりにするのではなく、そこで用いた考え方をさらに深めるよう検討したり、あるいは一般化して法則を示したりしています。

 

使い方など

使用時期:基盤力養成期間

レベル:高校初級

注意点:数学が苦手な人には向いていません。即効性が無いからです。良し悪しは別にして、公式を覚えてそれを問題に適用してどんどん解いていく方が効果はすぐ出ます。

 向いているのは、①中学時代数学が得意だった高校1年生です。本書で数学の概念や視点を学ぶことで、標準レベル以上の数学の参考書を学習する際に必ず役に立ちます。

また、②現在数学の問題がまあまあ解けるけど実はあまりよく分かっていない方にもお薦めできます。標準レベルの問題をしっかりと身に付けるためには、理解が伴っていると効果的です。そのために本書を活用できるでしょう。

 読んで理解することが重要とはいえ、練習問題・応用問題は必ず、公式の説明も場合によっては紙に書いて手を動かして下さい。

使用方法:(上記①と②に対応しています)

①高校の授業の予習復習にあわせて使います。教科書をさらに深く理解するのに役立ちます。各分野の考え方、問題を解くための視点、数学的な概念などじっくり理解していきましょう。通して1~2周、あとは苦手な箇所や理解が不十分な箇所を重点的に読めば大丈夫です。扱っている内容は教科書を超えるものではないので、より高いレベルの問題演習は他の教材を使って下さい。

②どこの章から取り組んでも問題ありません。各章につながりはありますが、ある程度学習した方ならば、学習の障害になるほどではありません。自分が苦手としている分野からまずは攻略して下さい。もちろん余裕があれば全部の章を一度は目を通すことをお薦めします。

 

本書は非常に良い本ですが、「合う合わない」がはっきりすると思います。特に説明を自力で読み進められない(国語の力が低い)と苦労します。「入門」と銘打っていますが、実態は上位から難関の大学を志望する方向けなのかもしれません。

第一志望に落ちた方へ

人生の目的とは?

人は何のために生きるのか、考えたことはありますか?「大学に受かるため」と答える方はいないでしょう。でも「お金を稼ぐため」とか「就きたい職業に就くため」と答える方はいると思います。各人それぞれは何らかの目的のために生きていますが、それらを最大公約数的にまとめるとしたら「幸せになるため」、つまり幸福を目的に生きているのではないでしょうか。

 

幸福になる道は一つじゃない

第一志望の大学でなければ幸せになれないとするならば、世の中の多くの人間は不幸であることになりますが、そんなおかしな話はありません。人間は困難な状況に陥ると、視野が狭くなってしまいます。そこから抜け出す手段、手助けがいくつもあることに気が付きません。

大学卒業後に就きたい職業がある場合、それは第二志望の大学からでも就けることがほとんどだと思います。医者になりたい場合、医学部であればどこの大学でも医師国家試験を受験できますし、薬剤師や獣医師でも事情は同じです。

卒業後の進路を考えた場合、どこの大学を出ているか、ということよりも、何を学んだのか、どのような職業人になりたいのか、ということの方がはるかに重要です。そしてそれは別に第二志望の大学でも問題ないわけです。

現状は変えられませんが、将来は変えられるかもしれません。元々考えていたルートではなく、別のルートでも幸せになる可能性は充分にあるのです。

 

努力は報われている

第一志望の大学に落ちてしまったら、今までの勉強は無駄だったのでしょうか?もし全く勉強していなかったら、第二志望の大学に合格出来たでしょうか。恐らくは無理でしょう。つまりどこかの大学に合格した時点で、その努力は評価されているのです。そしてその評価は客観的なものです。自分が今までの努力は無駄だったと考えても、きちんと評価してくれる人は実際に存在しています。これは否定できない事実です。

 

まだまだこれから

この先、大小さまざまな勝負、試練が待ち構えています。それら全てで100点満点を取ることは非常に難しい。ですが、ある程度の点数を取ることはできそうです。赤点はさすがにまずいですが、60点や70点でも充分に合格点であり、他人からしっかりと評価してもらえます。満点を取れなければ何かしら反省点があるはずです。そこできちんと分析・考察をして次につなげていけば良いのです。

大学入試はゴールでもないし、スタートでもありません。数ある分岐点の一つに過ぎません。人生まだまだこれからです。

 

 

 

数学の勉強の仕方

3タイプ

1. 指定校推薦を考えていて、定期テストのみ数学が必要。

2. 共通テストのみ数学が必要。

3. 共通テストに加えて二次試験、私大入試で数学が必要。

 

1のタイプの方は、教科書と学校で渡される問題集で充分です。場合によっては教科書ガイドを購入しても良いでしょう。わからないところや苦手なところを克服するために、自分で参考書や問題集を購入するのはあまりお薦めしません。家庭教師や個別指導を受けたほうが手っ取り早いはずです。

 

2のタイプ

基盤力養成期間

ある程度の進学校、準進学校であれば、基本的には学校の進度に合わせて大丈夫です。授業の予習はした方が良いですが、それよりも先取りして予習する必要はありません。教科書を中心に、配られた傍用問題集で各種公式を身につけて下さい。

また初級から標準レベルの参考書(量が多すぎないもの)を用いて、基本的な解法を学ぶことも必要です。これは、テスト毎にその対策として、あるいは長期休暇にやっておくのが、時間的にうまいやり方だと思います。

実践力養成期間

高校3年生になると学校の授業も演習中心になるはずです。理想的にはそれと時期を合わせて実践力養成期間に移ります(現実的には、高3の前期はまだまだ基盤力養成期間である人の方が多いです)。

共通テスト対策はやはり過去問を解くことが最も重要です。とはいえいきなり過去問を解くのは大変です。そこで、共通テストの過去問を分野別に編集した参考書を使用しましょう。この種の参考書は、長い問題をある程度短く改題するなど、学習者が取り組みやすい配慮がされています。また分野別であることで、苦手な分野だけ多めに繰り返すことも容易です。

12月くらいからは、共通テストの過去問を年度ごとに、そして共通テストの模試本(駿台、河合、Z会)を時間を測って取り組んで下さい。

個別対策期間

数学が共通テストのみの方は、共通テスト全体で60%~70%くらいのランクの大学を受ける場合がほとんどです。現在の共通テストでは数学の点数は取りづらいので、数学が50点くらいでも及第点だと思います。足りない分は社会や、二次で必要であろう英語でカバーする方が効率が良いです。そのため多少苦手分野があったとしても、わざわざ個別対策期間を設ける必要性はありません。

 

3のタイプ

基盤力養成期間

自分の志望する大学のレベル帯に応じて、標準から上位レベルの参考書で解法を身につけていきます。進学校で授業の進度が速い場合や文系の場合、先取りする必要はありません。学校の授業進度が遅い場合でかつ理系の場合、先取りも視野に入れておきましょう。

解法を身に付けるために、青チャート式のように分厚いもの1冊で済ます方法と、基礎問題精講のように問題数が絞られたものを2~3冊使う方法とがあります。後者の方が問題数が少ないことから復習を周回させやすく、また途中で挫折してしまうことも少ないので、特に文系や中堅大学理系の方にお薦めします。

二次試験での数学は記述式です。つまり当たり前ですが解答を紙に書くことになります。であれば普段の勉強でも紙に書くことはごく普通のことです。まれに「目で覚える」と言う方がいますが、それは一部の天才だけができる方法だと思います。私の学習経験上、あるいは指導経験上、どの科目の記述式問題も自力で完全解答を書けるように訓練をしなければテストでの点数は望めません。「理解できる」ことと「答案が書ける」ことにはギャップがあります。

実践力養成期間

共通テストと二次の対策の両方が必要になってきます。共通テストを軽視すると必ず痛い目に合うので、過去問を編集した対策本と模試本はやっておきましょう。

二次の過去問は早い段階で目を通して下さい。試験全体における数学の配点、出題頻度が高い分野、全体的な難易度などを調べます。一年分をざっと解いてみて、自分の現在地点を本試験との差を実感してみるのも良いでしょう。

目標点を設定して、どの程度の難易度までやるべきか、特に攻略すべき分野はどこか、ということを把握した上で適切な問題集を選んで下さい。まずは一冊終えてみて、過去問や大学別模試でその成果を検討します。目標点に少し足りない場合は、その問題集の復習に加えて同レベルの問題集を、大幅に足りない場合はひとつ上のレベルの問題集を追加します。

個別対策期間

自分の苦手分野が、出題頻度が高く、かつ難易度が標準程度の場合、必ず対策が必要です。基盤力養成期間で使用した参考書で解法をもう一度身につけて、その分野の問題演習を大幅に増やします。

対して、自分の苦手分野が、出題頻度が低く、かつ難易度が高い場合にはあえてそれ以上対策しないことも一計です。対策に時間を費やしても報われない可能性が大きいからです。その時間で他の科目の対策をした方が効率が良い場合があるわけです。

 

数学を苦手としている受験生は多いです。効率よく学び是非とも武器にして下さい。